MRIの暗い写真を見せられて、「脊柱管が狭くなって神経が圧迫されています」と静かに告げられたことがある人、いませんか。
・・・まあ、あの瞬間の絶望感ってホントにすごいですよね。
「骨に壁ができた。もう元に戻らない」みたいな気持ちになる.
でも、何千年もかけて育ってきた東洋医学というレンズでこの病態を覗いてみると——景色がガラッと変わるんです。今回はそのお話。
西洋医学的に言うと「脊柱管が狭くなって神経が圧迫されている構造の問題」ですよね。
そうなると「削るか、手術するか」みたいな話になりがちです。
でも東洋医学では、この状態を大きく二つの観点から読み解きます。
東洋医学的診立て
「絡脈」って聞き慣れない言葉かもしれませんが、要は骨の中を走る超微細な血管ネットワークのことです。ここが詰まると、歩くたびに足が「血液の来ない飢餓状態」になる、というワケです(;゚Д゚)
東洋医学には「腰は腎の府」という教えがあります。
背骨は「腎精(じんせい)」と呼ばれる生命力によって日々潤されているんですが、加齢や過労でこれが減ってくると(腎虚)、背骨は水分を失った枯れ木のように変形しやすくなります。
さらに「肝」のエネルギーが落ちると、靱帯がゴムの劣化みたいにカチカチに。ここに「冷え(寒邪)」や「湿気(湿邪)」が忍び込んで、絡脈の血液をドロドロに凍りつかせる。
これが「瘀血(おけつ)」です。
歩き出すとすぐ足がしびれて休まないといけない(間欠性跛行)のは、「骨の形」のせいというより、この目詰まりで新鮮な血液が届かない「足腰の飢餓状態の悲鳴」なんですね。
・・・う~ん、こう書くと身体って複雑ですよね。
でも、複雑だからこそ、アプローチの手がかりも複数ある、ということでもあります。
東洋医学が目指すのは「壊れたものを削り取る」じゃなくて、「滞った川の泥をていねいに取り去り、源流に水を注ぎ込む」こと。すごい表現だと思いませんか(笑)。
ステップ①:通絡(つうらく)——まず深部の目詰まりを解除する
鍼灸によって脊柱管周辺の絡脈の緊張を緩め、血行を改善。長年凍りついていた血流が解放されると、神経根の周りに新鮮な血液が波のように注ぎ込まれます。画像上の骨の形がそのままでも、神経の働きが劇的に回復することがある。これが「希望」の根拠です。
ステップ②:扶正(ふせい)——生命力の泉を内側から底上げする
「腎」と消化力「脾胃」を内側から引き上げることで、新鮮な気血が大量に作られるようになります。腰を支える筋肉・靱帯・神経細胞への持続的な栄養供給がスタートし、これが「根本的な体質改善」につながるワケです(*’∀’)
西洋医学の世界でも実は不思議な現象が観察されています。
「画像上の変形が非常に重度なのに、本人はほとんど痛みを感じていない」ケースが数多くあるんです。
つまりMRIに写る骨の変形は、あなたの身体が長年かけて刻んだ「過去の履歴」に過ぎないということです。今現在の痛みとは必ずしも一致しない。
東洋医学は「過去の影」を追う医学じゃなくて、今まさに動いているあなたの全身のバランス=「証(しょう)」を診て、整えていく医学です。
たとえ骨に変形があっても、冷えが取れて気血の滞りが解消されれば、しびれなく歩くことは十分に可能と考えます。
「脊柱管狭窄症」という診断名に心を縛られなくていい。自分でいくらでも変えていける「今の状態」に目を向ける。
これが、東洋医学がもたらす大きな希望だと思います(*’∀’)
専門的な鍼灸治療と並行して、日常でできる養生指針を2つ提案します。
① 腰・お尻・足首の徹底保温
「冷え」は脊柱管の細い血管を収縮させ、しびれの最大の引き金になります。毎日湯船にゆっくり浸かること。筋肉の引きつれが和らぎます。
②「黒くて温かい」食養生
腎を養うのは「黒い食材」——黒豆・黒ごま・ひじき・クコの実。脾胃を冷やす冷たい飲み物や生ものは控えめに。温かいスープや山芋・カボチャ・ハトムギを積極的に。食事が薬になるワケです。
滞っていた川は、必ずまた流れ出す。
東洋医学はそう言っています。
診断名に怯えるより、今日の巡りをひとつ整えることからやってみましょう。