この質問、よく受けます。
私の答えはとてもシンプルです。
やっぱり王道の養生。
早寝早起き、バランスのとれた食事、適度な運動(たとえば散歩)、お酒を控えて、食事は腹八分目。
昔から言われてきた“当たり前のこと”ですが、どんなに時代が変わっても、これに勝るセルフケアはないと感じています。
けれど、問題は――
**「それがわかっていてもできないときがある」**ということ。
ここに、健康や養生のリアルな難しさがあります。
不眠の人に「早く寝ましょう」と言っても、そう簡単にはいかない。
忙しすぎて散歩の時間を取れない人もいれば、ストレスでついお酒に頼ってしまう人もいます。
そんなときに「自分は意志が弱い」と責める必要はありません。
体が疲れていたり、心が張りつめていたりする時期は、“良いこと”であっても体が受け入れられないことがあるからです。
たとえば、
・疲れているのに無理して運動すると、余計にだるくなる。
・体が冷えているのにサラダばかり食べると、さらに冷える。
・間食を控えていたが、ストレスが溜まってある日爆食してしまう。
「正しい」とされることも、その人の状態に合わなければ負担になる。
これを知っておくだけでも、心がだいぶ楽になります。
養生は「こうすれば健康になる」というマニュアルではありません。
むしろ、自分の体の状態に合わせて“続けられる形に整えていく”こと。
早寝が難しいなら、「夜中にスマホを見ない」だけでもいい。
運動がつらいときは、「通勤の階段を使う」でもいい。
完璧を目指すより、できる範囲で続けることがいちばん効果的なんです。
体が少し整うと、心も軽くなる。
心が落ち着くと、また体が動きやすくなる。
この循環が生まれたとき、初めて“養生が身についてきた”といえるのかもしれません。
本来、体は自分にとって良いもの・悪いものをちゃんと教えてくれます。
眠気、食欲、疲労感、ため息――
それらはすべて“身体の声”です。
でも、ストレスや情報の多さの中で、私たちはその声を聞き取りづらくなっています。
「何をすればいいのか」「何が気持ちいいのか」がわからなくなる。
そんなときは、無理せず他人の知恵に頼っていいと思います。
東洋医学の専門家、栄養士、トレーナー、カウンセラー。
その人の視点を借りながら、自分の体の声を思い出していく。
それも立派な“自分らしい養生”です。
王道の養生――早寝早起き、バランスの良い食事、運動、節制。
どれも基本中の基本です。
でも、私たちはいつも完璧ではいられません。
だから大事なのは、「王道を無理なく続ける工夫」。
できない日があってもいい。少しずつ戻せばいい。
養生とは、がんばることではなく、自分の心と体のリズムを取り戻すこと。
そのバランスが整ったとき、自然と体は軽くなり、気持ちも穏やかになります。
結局のところ――
やっぱり王道の養生がいちばん。
けれど、その王道を「自分のペースで歩けるように整える」ことこそが、いちばんの近道なのかもしれません。