Amebaの恋愛リアリティ番組「今日、好きになりました。」(通称「今日好き」)が中止になりました。
原因は参加者に未成年飲酒の疑いが出たこと。
ニュースを聞いて私が思ったのは、内容そのものよりも「今の子どもたちが生きている人間関係の難しさ」でした。
私が中高生の頃も、多少の悪さはありました。
でも当時はまだ携帯のカメラは粗く、誰かの行動を記録して世に出す文化なんてありませんでした。
その場で終わる「若気の至り」で済んでいたんです。
今の子どもたちは違います。
スマホの高性能カメラとSNSによって、ちょっとした行動が簡単に記録・拡散される。
しかもその情報は友達経由でリークされることもあり、友達ですら完全には信用できないという環境に置かれています。
「今日好き」の件は氷山の一角にすぎません。今の子どもたちを取り巻く状況には、いくつかの構造的な問題があります。
SNSは仲間とつながる便利なツールである一方、常に「いいね」を求める構造がストレスにもなっています。
投稿が少しでもスルーされたり、既読無視が続くと、それだけで人間関係が揺らぐ。
昔のいじめは教室や学校という限定された場で起こりました。
今はSNSで24時間続くことも珍しくなく、しかも証拠が残るため拡散されやすい。
「居場所がない」という感覚が強まり、不登校や精神的な不調につながるケースもあります。
私たちの時代なら、その場限りで消えていた失敗が、今はデジタルに半永久的に残ってしまう。
「一度の失敗が一生ついて回る」という状況は、子どもたちにとって大きなプレッシャーです。
「今日好き」の中止は、単なる未成年飲酒の話ではなく、現代の子どもたちの人間関係のあり方を映し出していました。
友達関係がかつてよりも“記録・拡散”にさらされる中で、彼らは常に緊張感を抱えながら過ごしています。
私たち大人の目から見ると、心配や違和感を覚えることも多いでしょう。
けれど大切なのは、ただ批判するのではなく、彼らが直面している社会問題を理解しようとすること。
今の子どもたちは、私たちの頃とは違うルールの中で人間関係を築いている。
その現実を受け止めることから、大人の役割が始まるのだと思います。