
ここまでの話。
今回は蜂蜜について考えてみたいと思います。
まず、一般的な理解。
”蜂蜜は約8割の糖分と約2割の水分からなり、ビタミンとミネラルが含まれた花の蜜。
糖分のほとんどはブドウ糖(グルコース)、と果糖(フルクトース)とからなり手早くエネルギーを得ることができます”
蜂蜜の健康的なイメージはこの辺りからくると思います。
まず、ブドウ糖と果糖は単糖類でこれ以上分解しなくても吸収できるサイズ。
また、果糖は腸から吸収される際、他の糖質より優先的に吸収されるため、即効性があります。
この2点から、蜂蜜は手っ取り早くエネルギーを吸収でき、消化の面で負担がかからないとされています。
では、東洋医学・鍼灸医学の面ではどうなのか。
”蜂蜜は「ほうみつ』と呼ばれ、滋潤性や甘味、解毒作用があり、肺・脾・大腸の帰経する”
少しわかりにくいですが、蜂蜜は肺や消化器、大腸に作用がいき、潤したり、解毒をする作用があるます。
(咳に蜂蜜湯とか飲んだりしますよね。乾燥した肺を潤そうとしてるんですね。)
また、甘味は衰えを補い、緊張を緩める作用があり、他の薬の中和の役目をしますが、甘味を取りすぎると胃腸の動きが緩慢になり、『湿邪』という粘調性がある余分な物を作ってしまします。
曲直瀬玄朔が1608年に著した『薬性能毒』があります。
この本は、渡来後間もない『本草綱目』のダイジェスト版といった内容の本ですが、その本の中に…
”蜂蜜→多ク食スレバ湿熱トナリ虫ヲ生ズ。小児二尤トモ忌ム。七月ニ生蜜を食スレバ霍乱瀉下ス”
ここでは蜂蜜を食べ過ぎると湿熱の邪を生み。小児は避けるべき食べ物だと触れています。
これから考えると、1608年の時点で、蜂蜜を小児に与えすぎると良くないという認識があることがわかります。
ボツリヌス菌を認識していなくても、小児に起こる異常を認知し気を付けるよう注意していたわけです。
人の身体を真剣に、注意深く観察していたからこそ、このようなことを理解していたのだと思います。
東洋医学も幼児と蜂蜜に良くない関係を理解していたということがわかったと思います。
次回もう少し症状について触れていきたいと思います。