ここまでの話。
前回は江戸時代以前の本に、小児が蜂蜜を沢山食べ過ぎるのは危険とわかっていた。そんな話でした。
今回は乳児ボツリヌス症の症状から、東洋医学・鍼灸医学の立場からどうなっているのか考えてみたいと思います。
まず、乳児ボツリヌス症の特徴的な症状から。
・初期症状として便秘
・母乳やミルクを吸う力が弱くなる
・全身の筋力の弛緩
他にもありますが、代表的な症状をあげました。
この症状は西洋医学ではボツリヌス菌によって起きると考えますが、東洋医学・鍼灸医学ではどうなのか。
まず、幼児と蜂蜜をどうかんがえるか。そこからお話しします。
1)幼児
幼児は成人と比べ、臓腑の成長しきっておらずまだ未熟。ちょっとしたことでも、負担になります。
また、幼児は陽に傾きやすく、陰が少ないと考えます。
子供は発熱する時に一気に40℃になることがあります。これも陽に傾きやすいからです。
2)蜂蜜
”蜂蜜”は多く食べ過ぎれば湿熱となります。
この湿熱という邪が胃腸に沢山生じ、胃腸の動きが悪くなったり、熱化して”陰分”という機能を支える水のようなものを焼きます。すると機能低下が起きてきます。
この2つの条件で考えると…
まだ消化吸収の機能が弱い幼児に、沢山食べると湿熱となる蜂蜜を食べる。
すると、少量でも大人より多くの湿熱を生じ胃腸の働きが低下。”便秘”になる。
また、陽に傾きやすい幼児の湿熱は成人より勢いのある熱となり機能を支える”陰分”を消耗。
すると、”ミルクを吸う力が弱くなる”症状が出現。
”陰分”の消耗と栄養を取れない状況から身体が衰弱し、”全身の筋力の弛緩”が出現する。
他にも可能性はあると思いますが、私なりにまとめてみました。
ですから、どの幼児も同じというわけではなく、複数あるパターンうちの1つです。
西洋医学では”蜂蜜=ボツリヌス菌”と考え、症状がでると考えます。
ですが、東洋医学・鍼灸医学では”湿熱”や”胃腸の動きが悪い”という観点から病が始まると考えるわけです。
そうなると、他の食べ物でも”湿熱の邪”がたまると同じような症状がでることになります。
今回の事件で『1歳未満子供が蜂蜜を食べると危険』という認知が進みました。
私はこれでは不十分だと思います。
”湿熱が溜まる”や”胃腸の動きが悪い”の証拠になる、便秘に注目して大きな病気を予知する。
その予知をいかして、生活を注意したり鍼灸治療を受ける。
そんな風な認知が進めばいいのではないかと思います。
幼児と蜂蜜・終わり。