練馬区立石神井公園ふるさと文化会館で行われている『病(やまい)退散ー江戸の知恵と医術ー』に行ってきました!
展示は4章に分かれていて…
第一章:江戸時代の薬
第二章:江戸時代の医療
第三章:江戸の人々のくらしと健康
第四章:江戸時代のはやり病
となっています。
この前に、「はじめに」として
江戸時代の養生とからだのコーナーがありました!
ここではまず生薬の紹介があり、実際に数種類の生薬に触れることができました!
また、展示物として蛤蚧(ごうかい)や熊胆、穿山甲などがありましたね。
生薬以外にも書籍の展示があり個人的に目についたのは、「遠西医方名物考」という書籍です。
この本は蘭方薬物をイロハ順にまとめてあるのもで、その中になんと「SOAP」という箱の絵が。
東洋医学の生薬が載っている本を見る機会は多くありましたが、この時代の書籍で初めて見たので今までにない感覚を覚えました!笑
また、ここのコーナーには本草学者、小野闌山の紹介されていました。
私も知らなかったのですが、お墓が練馬区にある迎接院(こうじょういん)にあるそうで詳しく紹介されていました。
採薬の経路が紹介されており、現在の日光や外房、群馬県の妙義山や甲府、更に名古屋や和歌山まで巡っていたそうです。
この経路は1801年頃から1805年に巡ったとされており、小野蘭山が70歳を超えた頃ですから凄い体力ですよね!
また、小野蘭山(筆)の本草項目の講義用覚え書があり、そこには読めないほどびっしり書き込まれてました!
だいぶ字が崩れていたので読めませんでしたが、その想いは充分に感じるものでした。
ここでは、江戸時代に現在の練馬区で医家をしていた「森田家」に伝わっていた資料を基に、江戸時代の医療の変化について展示されていました。
このコーナーで一番強調したいことは、東洋医学と西洋医学の違いや移り変わっていく過程だと思います。
その典型がこの図。
東洋医学の五臓六腑の図と西洋医学の解剖図。
山脇東洋が刑死人を解剖し、これにより体内を正確に把握する実証医学の研究が始まっていきます。
それ以前は、東洋医学の五臓六腑図のように身体の中がなっていると考えていたので、実証医学の図を見た時当時の人たちは驚いそうです。
「肺が葉っぱの形をしている東洋医学はでたらめだ!」と感じ人もいたと思います。
現代人が見ても、でたらめだと思うし、この図に立脚した医学が効果があるわけないと思う人もいると思います。
そこには待った!!と声を大にして言いたい!!!!
黄帝内経という紀元前200年に編纂されていた本には、既に解剖をしていないとわからないことが書かれています。
ですので、既にこの時代に解剖を行い内臓の様子はわかったうえで、あの図を採用していたと推測されます。
あの図には姿、形だけではなく、各臓腑の機能をも描写したために、あのような図になったとされています。
つまり、形も大切ですが、それより機能(働き)を重視、注目していたということだと思います。
西洋医学では「レントゲンや内視鏡では異常がありませんね」
と、画像診断を重視することもありますが、東洋医学はずっと機能重視。
だから、病院で異常がないと言われた人にも対応でき、効果をあげることもあるわけです。
また、このコーナーでは世界で初めて全身麻酔手術をした華岡青洲も紹介されていました。
その手術は1804年10月13日に乳がんの切除に成功しており、アメリカでモートンが麻酔手術を行う40年前のこと。
手術を行うために使用した、麻酔薬「通仙散」の完成により、当時難治と考えられていた病気の治療も手術によち可能となりました。
ですが、この「通仙散」を作り上げる過程で、自ら人体実験を申し出た母は衰弱し、妻は失明と大きな犠牲の上に完成したものです。
そのような思いがこもった「通仙散」ということですね。
つづく。