健康情報が溢れる時代となり”体にいいこと”としてサプリメントやプロテインを飲むことが推奨されています。
ですが、プロテインも飲み方を間違ってしまうと、タンパク質の過剰摂取になり肝臓や腎臓に負担がかかり疲労感や倦怠感がでることがあります。
多くの人にとっては健康になることでも、適切に扱えないと返って健康の足を引っ張ることになると私は日々感じています。
そう感じているものは多くありますが、その1つに”運動”があり、今回はそれについて簡単にまとめたいと思います。
私も生活の中で取り組んでほしいこととして、運動や散歩など体を動かすことを患者さんにお願いすることがあります。
ですが、”健康=運動”と思ってしまい、負荷の強い運動をしたり、体の状態にあっていない運動をしている人も多い印象です。
人によっては休むことも”体にいいこと”であることを忘れがちではないかと思っています。
西洋医学では運動をすればカロリーを消費すると考えますが、東洋医学では気や血を消耗すると考え、過度な運動をすることが病の原因となり症状がでたり不調がでると考えています。
健康な人は気や血が十二分にありますが、例えば胃が弱く食事の摂取量が少ない人は気や血を十二分に作れません。そのような人が強度の強い運動をすることで、気血を消耗してしまい病になってしまうことがあります。
膝や腰が痛い人が、ランニングをすると症状が悪化するので、どんなに好きな趣味でも控えることができます。
ですが、東洋医学のいう”気血を消耗する”という考え方をした場合には、一見運動とは関係ないような症状の原因になっていることがあります。
65歳の女性が膝から足先にかけての冷え症に悩んで通院していました。
その方はとても健康への意識が高く、食事や睡眠、運動に気をつけた生活をしていました。
気になる点としては、スポーツジムに週6日行ったり、その内3回は午前と午後の2回スポーツジムに行くことでした。
施術をしていく中で、腰痛や睡眠の質が上がるなど体調は良くなっていきましたが、冷え症の改善は乏しい状態が続いていました。
施術の方向性は問題ないと思った私は患者さんに以下の3点を提案しました。
・スポーツジムに行く機会を控えてください。(週2回)
・他の生活面は何も変えないでください。
・2週間運動を控えて、冷え症に何も変化がなかったら運動の頻度を戻しましょう
この提案に患者さんは非常に抵抗感を示しました。
理由は、運動をすることでストレスを発散になっていたのと、運動をしたあとの30分程度は冷えを感じなかったからです。
運動をしたら血行がよくなって冷え症が改善するのに何で運動を控えないといけないのかと質問されました。
そこで私はこのように答えました。
『運動することで血行がよくなる面はありますが、過度な運動することで(気血を)消耗する面があり、今の冷え症の原因になっていると考えられるからです』
と説明しギリギリ納得してもらいました。
スポーツジムに行くのを控えて5日目ぐらいに足の冷えを感じる頻度が減り、冷え症は徐々に改善していくことができました。
このように、基本的に運動は体にいいものですが、過度な運動は時に健康の足を引っ張ることもあります。
また、東洋医学の立場では運動は関節や筋肉だけへの負担ではなく”気や血を消耗する”という意味があるので、内科疾患や自律神経系の症状にも影響がある場合があります。
健康情報は全て鵜呑みにするのではなく、考え、自分の体調を感じながら取り組んでいけるのがベストだと思っています。