ある朝、目が覚めた瞬間に足の親指がドクンドクンと脈を打っている。恐る恐る床に足をつけたら、「うわっ!」と声が出るほどの激痛で一歩も歩けない。布団の端がかすっただけで飛び上がる。文字通り、風が吹いても痛いから「痛風」です。
「昨日あんなにビール飲んだからか……」「贅沢病って言われるし、これからずっと薬と付き合うしかないのかな」って、一気に絶望的な気分になった経験のある方、けっこういるんじゃないでしょうか。
僕も患者さんから生々しい体験談を聞くたびに、他人事とは思えなくてヒヤヒヤしてしまいます(苦笑)。
一般的に痛風って、「プリン体の摂りすぎでなる贅沢病」「自己管理ができない人の病気」と思われがちですよね。とにかく数値を下げて、痛みを抑え込むのが当たり前だと。
でも、東洋医学という沼にどっぷり浸かっている僕からすると、これ、まったく違う景色に見えるんです。
痛風の本質は、足の関節の故障でも、単に数字が狂っただけの話でもありません。
身体の中で起きている、大規模なゴミ処理渋滞なんですね。
しかも、ただ詰まっているんじゃない。「これ以上ゴミを全身に回したら命に関わる」というギリギリのところで、身体が最後の防衛ラインとして、末端の足元にゴミを集めて一気に燃やそうとしている。
そう考えると、あの激痛って、身体が必死に命を守ろうとしている最終手段なんじゃなかろうか、というワケです。
・・・まあ、そもそもなんでそんな大渋滞が起きちゃうのか、って話ですよね。
東洋医学では、食べたものをエネルギーに変える「脾(ひ)」=胃腸のはたらきと、いらないものを尿として捨てる「腎(じん)」の連携プレーで、身体をきれいに保っていると考えます。作る係と、捨てる係。この二人三脚ですね。
ところが、暴飲暴食や脂っこい食事、お酒の飲みすぎ、そこに過酷なストレスまで重なると、まず胃腸がキャパオーバーを起こします。すると、消化しきれなかった飲食物が、ドロドロのヘドロみたいな水分(湿濁/しつだく)に変わってしまう。
このヘドロが体内に長く居座ると、だんだん発酵して熱を持ち(湿熱)、やがて組織を傷つけるほど濃縮された毒素(濁毒)へと育ってしまうんです(;゚Д゚)。
さらに悪いことに、疲労や睡眠不足で「腎」のゴミ処理能力まで落ちていると、捨て場を失った毒素が血液中にあふれ出して、全身のルートを彷徨うことになります。
作りすぎ、なのに捨てられない。これがゴミ処理渋滞の正体です。
じゃあ、なぜあの激痛は決まって「足の親指の付け根」を狙い撃ちにするのか。
これがですね、理由がめちゃくちゃ合理的で、主に2つあるんです。
1. 重いゴミは、重力に従って下に沈むから
東洋医学には「湿邪は重濁にして下部に沈む」という原則があります。ドロドロした重たいゴミは、水と同じでどうしても身体の最下層へ落ちていく。だから足なんですね。
2. 足の親指が、エネルギーの折り返しターミナルだから
足の親指は、消化器系を司る「脾経」と、解毒を司る「肝経」がUターンする、循環の最果ての地。いわば終着駅です。道幅が細くなっているターミナル駅に、ドロドロのゴミが一気に雪崩れ込むワケです。そりゃ詰まりますよ、と。
東洋医学には「通ぜざれば則ち痛む」という有名な言葉があります。気血の通り道が完全に目詰まりした瞬間、身体は限界を告げる警鐘として激痛を放つ。全身の大事な巡りを守るために、あえて末端の一点に熱を集めてゴミを燃やし尽くそうとする。
いやこれ、めちゃくちゃよくできた仕組みじゃないですか?
・・・まあ、渦中にいる本人はそれどころじゃない激痛なんですが!(笑)
・・・う~ん、理屈は分かったけど、じゃあ具体的に日常で何から始めればいいの? って思いますよね。
いきなり生活を180度変えるなんて無理ゲーなので、今日からできるハードルの低いものを3つだけ。
・ハトムギ茶を常温で、ちびちび飲む
東洋医学でハトムギ(ヨクイニン)は、濁りを取って尿から老廃物を出してくれる食材として超有名です(゚∀゚)。ただし、冷たい飲み物は胃腸を冷やしてゴミ処理を止めてしまうので、常温か白湯くらいの温度で、こまめにどうぞ。
・足元を冷やさず、軽く歩く
ゴミは冷えると関節で固まります。足首を冷房や冷気から守りつつ、痛みのない時期は散歩程度でいいので、ふくらはぎを動かして沈殿した気血を循環させてあげてください。
・23時台には布団に入る
東洋医学では、夜の23時から午前3時が「肝」と「腎」が全力で血をきれいにするゴールデンタイム。夜更かしをやめてぐっすり寝ることが、実は一番の解毒剤だったりします。
そして、「作らせない・捨てる」の土壌づくりは、正直ひとりだと続きにくいところでもあります。今のご自身の偏りがどのタイプなのか、脈やお腹の状態から確かめながら進めていきたい方は、鍼灸の場も遠慮なく使ってみてくださいね。
痛風の発作は、あなたの身体が「ちょっと今のペース、もう限界だよ!」と全力で教えてくれた、愛のある急ブレーキなんですよね。
診断名に怯えて自分を責める必要なんて、まったくありません。身体からのサインをちゃんと受け取って、日々の巡りを少しずつ整えていきましょう。
僕も今夜は夜更かしをやめて、温かいお茶でも飲んでさっさと寝ることにします(笑)。