不安が強い人は、弱い人ではありません。
むしろ、かなり真面目な人です。
まず押さえておきたいのは、不安というのは性格ではなく、状態だということです。
いま不安が強いからといって、その人がずっと不安体質なわけではありません。
睡眠が浅い。
体調が安定しない。
先が見えない。
こうした条件が重なると、人は誰でも不安になります。
そして不安が一定の強さを超えると、思考の使い方が変わります。
不安が強い状態では、脳は創造や回復よりも、安全確認を最優先します。
本当に大丈夫か。
見落としはないか。
悪化のサインは出ていないか。
これは命を守るための、極めて正常な反応です。
問題は、このモードが長く続くことです。
安全確認モードが続くと、
人は「考える」よりも「チェックする」ようになります。
流れはとてもシンプルです。
不安になる
→ 情報を集める
→ 少し安心する
→ 体の感覚に意識が戻る
→ 些細な違和感に気づく
→ また不安になる
ここで重要なのは、
情報収集や確認行動は、ちゃんと一時的に安心をくれるという点です。
だからこそ、やめられません。
効かないどころか、効いてしまうからです。
ここが一番誤解されやすいところです。
情報収集や確認行動は、
「無意味」なのではありません。
むしろ、ちゃんと安心させてくれる。
だから脳は学習します。
「不安になったら、これをやればいい」と。
その結果、不安 → 行動 → 安心 → 不安、
という回路がどんどん強化されていきます。
これが、負のループの正体です。
多くの人はここでこう思います。
ちゃんと調べたのに
ちゃんと対処したのに
どうしてまた不安になるの?
理由は単純です。
不安の原因が解決していないからではありません。
注意の向きが変わっていないからです。
不安が強いと、注意は常に「体の中」「問題」「違和感」に向きます。
少し安心しても、注意がまたそこに戻れば、不安も戻ります。
体の感覚というのは、
意識を向けるほど大きく感じられる性質があります。
違和感を探せば、何かしら見つかる。
問題を探せば、材料はいくらでも出てくる。
これは気のせいではなく、
人間の知覚の仕組みそのものです。
ここで少し、耳の痛い話をします。
負のループに深くハマるのは、
適当に流している人ではありません。
ちゃんと体と向き合おうとしている人です。
異変を見逃したくない。
失敗したくない。
良くなりたい。
その姿勢自体は、まったく間違っていません。
ただ、向き合い方が「確認」に偏ると、ループが完成します。
多くの人は、
「もっと安心できれば、このループは終わる」と考えます。
でも実際には、
安心を増やそうとするほど、確認行動は増えやすい。
必要なのは、安心感ではなく、
注意の向きを変えることです。
不安を直接どうにかしようとしなくていい。
確認行動を無理にやめなくてもいい。
まずは、
情報に触れる時間を決める
体のことを考えない時間を作る
意識が外に向く活動を少し入れる
これだけで、注意の重心は動き始めます。
不安は、
相手にされなくなると弱まる性質があります。
ここまで読んで、
「自分は不安が強すぎるんじゃないか」と思った人もいるかもしれません。
でも、不安が強いのは欠点ではありません。
状況に対して、きちんと反応している証拠です。
ただ、その反応が長引いているだけです。
負のループから抜けるために必要なのは、
頑張ってやめることではありません。
少し距離を取ること。
少し注意をずらすこと。
それだけで、
ループは徐々に力を失っていきます。
不安が強いとき、
派手な対策や新しい方法は、あまり効きません。
むしろ、
減らす
休ませる
外に向ける
こうした地味な調整のほうが、確実です。
不安は敵ではありません。
排除する対象でもありません。
役目を終えたら、
自然と小さくなっていくものです。
不安が強い人ほど、
ちゃんと考え、ちゃんと向き合い、
その結果、同じ場所を回り続けてしまうことがあります。
それは失敗ではありません。
構造の問題です。
構造が分かれば、
力を入れなくても、流れは変わります。