・・・う~ん、暑い。もう、とにかく暑い。
僕の患者さんでも、この時期になると「熱中症になりかけて、点滴打ってもらって、その日は楽になったんですけど・・・なんか、まだ頭がぼーっとするんです」って相談、めちゃくちゃ増えるんですよね。
水分はちゃんと摂ってる。エアコンもつけてる。それでも、なんか体がシャキッとしない。だるい。頭に霧がかかってる感じがする。
これ、経験ある人、結構多いと思っています。
一般的には「熱中症=脱水」だから、「水を飲めば治る」と思われがちですよね。もちろんそれは間違いじゃないんですけど、実はこれ、東洋医学的に見るとちょっと違う話が見えてくるんです。
「水を飲んでるのに、なんで体は乾いたままなんだろう?」
この疑問、東洋医学だと結構クリアに説明できちゃうんです。今日はそのへんを、僕なりに掘り下げてみようと思います。
東洋医学では、僕らの体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素がぐるぐる巡ることで元気を保ってる、と考えます。気はエネルギー、血は栄養を運ぶもの、水は体を潤す液体全般、というイメージです。
夏の暑さは、東洋医学だと「暑邪(しょじゃ)」っていう、体に悪さをする外敵として扱われます。この暑邪、めちゃくちゃ厄介な性質を持っていて、体の中の「水」を強制的に汗として外に追い出しちゃうんですよ。
で、ここがポイントなんですけど。
「気は水にくっついて漏れる」という考え方が東洋医学にはあるんです。
つまり、汗としてダラダラ水分が出ていくとき、実は水分だけじゃなく、体力の源になる「気」も一緒に外へダダ漏れになってる、というワケです。
・・・まあ、考えてみれば当たり前かもしれないんですけど、これがなかなか見落とされがちなんですよね。
さらに追い打ちをかけるように、東洋医学では「汗は心(しん)の液」なんて言われ方をします。ここでいう「心」は、心臓そのものというより、精神状態や思考のクリアさを支える働き全体を指すイメージの臓器です。汗を大量にかくと、この「心」の潤いが直接持っていかれてしまう。
だから、熱中症で倒れかけたあとに「頭がぼーっとする」「判断力が鈍る」「夜眠れない」なんて症状が出るのは、単なる水分不足だけじゃなくて、「心」を潤す力そのものが、汗と一緒に流れ去ってしまったから、なんです。
スゲエ、これは(*‘∀‘)
実はもう一つ、現代ならではの厄介なタイプもあります。「陰暑(いんしょ)」ってやつです。
冷房のガンガン効いた部屋に長時間いたり、冷たいアイスやビールを毎日流し込んでたりすると、体の表面の毛穴がキュッと閉じちゃうんですよね。すると、体の中にこもった熱は外に逃げられなくなる一方で、お腹(東洋医学でいう「脾胃(ひい)」=消化吸収を担う働き)が冷え切って、水分を全身に運ぶ力がマヒしてしまう。
これが、「エアコンの部屋にいるのに頭が重くて、胃がムカムカする」っていう、ちょっと不思議な「冷えからくる熱中症」の正体だったりします。
病院で点滴を受けて、熱が下がる。もちろんこれは大事な処置です。
でも、そこから「元のシャキッと動ける体」に戻していくには、実はもう一段階、必要な回復プロセスがあるんじゃなかろうか、と僕は思うんです。
東洋医学的な回復のカギを握るのが、さっきも出てきた「脾胃(ひい)」。中医学では「後天の本(こうてんのほん)」、つまり生まれたあとにエネルギーを作り出す源泉、なんて呼ばれるくらい大事な働きです。
熱中症で脾胃がダメージを受けると、いくら水や経口補水液をがぶがぶ飲んでも、それを「体が使える潤い」に変換できなくなっちゃうんです。胃の中にポチャポチャ水が溜まるだけで、肌や脳、筋肉はカラカラのまま。
・・・まあ、水を飲んでも乾く、の正体はこれなんですよね(苦笑)
鍼灸や温かい生薬で脾胃の働きをそっと整えてあげると、お腹に「火」が戻ってきて、入ってきた水分をスムーズにエネルギーへ変換、全身に巡らせられるようになります。水が巡れば、干上がっていた「心」も潤いを取り戻して、動悸や息切れ、不安感、頭のモヤモヤが、乾いた土に雨が染み込むみたいに、スーッと消えていくんです。
東洋医学の面白いところは、病院の検査で「異常なし」って言われても、体が出してるSOSをちゃんとキャッチできるところなんですよね。
熱中症の後遺症で悩む人、実はこんな感じで大きく2タイプに分かれます。
・陰虚内熱(いんきょないねつ)タイプ
体を冷やすためのオイルにあたる「水」そのものが枯れてしまっていて、夕方に微熱が出たり、手のひらや足の裏がほてって眠れなかったりするタイプ
・暑湿阻滞(しょしつそたい)タイプ
お腹の中にドロっとした水分が停滞して、体が鉛みたいに重く、頭を締め付けられるような頭痛が残るタイプ
同じ「熱中症の後遺症」でも、アプローチが全然違うんです。脈や舌の状態をじっくり見て、「今のあなたの状態」をパズルみたいに紐解いていく。だからこそ、長引くだるさにも、ちゃんと光を灯せる、、、っと考えています!
さて、ここからは実践編。僕がいつも患者さんにお伝えしてることを、ぎゅっとまとめてみます。
① 水分は「がぶ飲み」じゃなく「ちびちび飲み」
一気に大量の水を飲むと、脾胃を冷やして「水が体に溜まって動かない」状態を招いちゃいます。常温の水か麦茶を、20〜30分おきに、コップ1杯くらいずつ、噛むようにゆっくり飲む。これが脾胃を壊さずに体へ水を染み込ませる、一番スマートなやり方です。
② どんなに暑くても「温かいもの」から食べる
食事の最初に、温かい味噌汁やスープ、白湯を一口。生姜やシソ、ミョウガなんかの薬味は、冷えて滞ったお腹をふわっと温めて、余分な湿気を外に逃してくれる、天然のお薬です。
もし「それでもキツイ!」って時は、プロの鍼灸師さんに頼るのも大アリです。あなたの状態を理解し、適切なツボにアプローチしてもらうと、困っている症状に変化が出てくると思います。
熱中症対策って、ただ体を冷やして水を飲めばいいってワケじゃないんです。 自分の「胃腸」をいたわって、自ら「潤いを作って巡らせる体」を作っていくことが大事なんですね。
僕も、今日から冷たいビールはほどほどにして(無理かも?爆)、温かいお味噌汁とちびちび飲みを心がけたいと思います。
ではでは、心も体もみずみずしく、この夏を乗り切りましょう!
※本記事は情報提供のみを目的としています。診断や治療については、専門の医療機関にご相談ください。