柏院予約

「骨に異常なし」と言われたぎっくり腰、東洋医学ではこう見ます

2026.10.13

ぎっくり腰、やったことありますか?


洗面台で顔を洗おうとした瞬間、腰にピキーン!


そのまま一歩も動けなくなって、「え、僕いま何した? 顔洗っただけなんだけど?」ってなるアレです(苦笑)。


欧米では「魔女の一撃」なんて呼ばれるくらい、唐突で激しいらしいです。


しかも病院に行くと「骨には異常ないですね」と言われて、湿布と痛み止めをもらって「安静にしてください」で終わり・・・。


「いや、異常ないって言われても、こんなに痛いんですけど!?」


・・・まあ、そのモヤモヤ、すごくよくわかります。


 


一般的には「ぎっくり腰=突然起きた不運な事故」と思われがちです。


でも東洋医学では、実はこれ、ちょっと違う見方をするんです。


「突然」に見えて、実はそこまでに少しずつ溜まっていたものが、限界を超えて表に出てきただけなんじゃなかろうか、と。


つまり事故というより、身体が出した「もう無理!」という必然のサインなワケです(;゚Д゚)


 


ここで、東洋医学の大事な原則をひとつ紹介させてください。


「通ぜざれば則ち痛み、栄えざれば則ち痛む」(不通則痛・不栄則痛)


ざっくり言うと、痛みの原因は2パターンあるという話です。


・不通(通じない):体を巡る「気(エネルギー)」と「血(身体を潤す栄養)」の流れが詰まると痛む。道路の渋滞みたいなものですね。


・不栄(栄えない):筋肉や関節に栄養が届かなくなって痛む。畑に水が来なくなって、作物が枯れるイメージです。


ぎっくり腰は、この2つがダブルで来た状態なんじゃないか、と考えるワケです。


東洋医学では、腰は「腎(じん)の府」と呼ばれます。ここでいう「腎」は、腎臓という臓器だけの話ではありません。


生命力や回復力をためておく”貯金箱”のような存在、というイメージです。


過労、寝不足、年齢、ストレス。こういうものが続くと、この貯金箱が少しずつ減っていきます。すると腰まわりの筋肉や関節に栄養が届きにくくなって、潤いのない「枯れ木」みたいな状態になりやすい(=不栄)。


そこへ、「前かがみで荷物を持つ」「洗面台で顔を洗う」「振り返る」といった、ごく普通の動作がトリガーになります。その瞬間、気の流れがせき止められて、巡りが一気に詰まる(=不通)。


つまり、枯れ木状態のところに渋滞が重なって、身体が「これ以上動くな!」と急ブレーキをかけたのが、ぎっくり腰かもしれないワケです。


・・・まあ、顔を洗っただけで急ブレーキをかけられる身にもなってほしいですが(笑)、それだけ溜め込んでいた、ということなんでしょうね。


 


じゃあ、どうやって楽になっていくのか。


東洋医学では、痛みを無理に抑え込むのではなく、「詰まった巡りを通す」ことと「減った貯金を補う」ことを、順番に考えます。


① まずは巡りを通す


腰に触れないくらい痛くても、手足や背中にあるツボ(経穴)を使って、遠くから気血の流れを動かしていく方法があります。


巡りが戻ってくると、ガチガチに固まっていた腰がふっと緩む方が多いです(*‘∀‘)


② 痛みが落ち着いたら、貯金を補う


次に「補腎養血(腎を補い、血を養う)」の段階です。枯れ木に水をやるように、「腎」と、筋や膜の柔らかさを司る「肝」を養っていきます。


ここまでやってはじめて、再発しにくい土台ができていく、というのが東洋医学の考え方です。


 


もうひとつ、僕がこの仕事をしていていちばん「東洋医学ってスゲエ!」と思うところを話させてください。


それは、「ぎっくり腰」という病名ではなく、「その人が今どういう状態か(証・しょう)」を診ることです。


同じぎっくり腰でも、中身は人によってまったく違います。


・冷えで筋肉が縮こまり、温めるとラクになる人(寒湿タイプ)


・熱っぽさがあり、冷やすと少し落ち着く人(湿熱タイプ)


・強い負荷で傷めて、刺すような鋭い痛みがある人(気滞血瘀タイプ)


・疲れ切って、腰が抜けるように力が入らない人(腎虚タイプ)


だから、同じ「ぎっくり腰」でも、やることが変わるんです。舌を見たり、脈を診たり、お腹の張りを診たりして、「あなたの身体はどこに偏りがあるのか」を読み解いていきます。


痛みを「敵」として力ずくで抑え込むのではなく、「過労のサイン」「冷えの限界」「内臓の疲れ」といった身体の訴えとして受け取る。


 


さて、ここからは「じゃあ今日からどうすればいいの?」という話です。難しいことは言いません。3つだけです。


① 腰・お腹・足首を冷やさない


冷えは、巡りを渋滞させる大きな原因になりがちです。お風呂で腰(仙骨のあたり)を温めたり、足首にレッグウォーマーを巻いたりするだけでも違うかもしれません。足首の内側にある「三陰交(さんいんこう)」「太渓(たいけい)」のあたりを守るイメージです。(※ズキズキした熱感がはっきりある急性期は、冷やしたほうがラクな人もいるので、「温めると楽か、冷やすと楽か」で判断してくださいね)


② 寝っぱなしより、痛くない範囲で「ちょっと動く」


昔は「痛みが引くまで絶対安静」と言われていましたが、ずっと寝たきりだと、かえって気の流れが滞りやすいと東洋医学では考えます。激痛が走る動作は避けつつ、深呼吸をしながら部屋の中をゆっくり歩く、くらいで十分です。ムリは禁物ですが、「動かさなすぎ」もよくないんじゃなかろうか、というワケです。


③ 「腎」を養う食事と睡眠、そして迷ったら鍼灸院に相談を


黒豆、黒ごま、ひじき、きくらげ、山芋、栗、くるみ。こういう食材は、東洋医学では「腎」を養うとされています。そして夜更かしは、貯金をいちばん減らす行為です(僕も耳が痛いです・・・笑)。


それでも「自分はどのタイプなのか分からない」「何度も繰り返してしまう」という方は、ぜひ鍼灸院に相談してみてください。同じぎっくり腰でも、あなたに合ったやり方は人それぞれなので、「今の自分の証」を一緒に見ていけたらと思います。


 


ぎっくり腰は、「これまでの生活をちょっと見直してほしい」という、身体からのメッセージかもしれません。


痛みを怖がるだけじゃなく、「身体さん、何を伝えたいの?」と、ちょっと耳を傾けてみる。それだけで、巡りのいい身体に一歩近づけるんじゃなかろうか、と思っています。


僕もまずは、夜更かしを控えるところから・・・頑張ろっと(゚∀゚)